再生外科研究室(since 1998)
大学では形成外科の手術に加え、耳鼻咽喉科の頭頸部腫瘍切除後などの再建手術や大学院生の研究指導をおこなってきました。
再建外科医として『自家組織に勝る再建材料はない』というコンセプトを持って手術にあたってきましたが、移植部位(ドナー)を自家組織に求めるには限界があります。そこで必然的にTissue Engineering(組織工学)が研究テーマとなりました。
研究室を準備してくれるということでオホーツク海病院に赴任することになり、1998年再生外科研究室を開設しました。
当時はTissue Engineeringから再生医学への移行期で、実験医学(1997年12月号)で『再生医学−21世紀の医療』として特集されました。その特集に感銘を受け、早々に著者の一人である広島大学の吉里先生に連絡をとり研究室の見学に行かせて頂き、京都大学の筏先生には再生外科研究室を開設する旨のメールをお送りし、激励の返信メールを頂きました。
『自家組織に勝る再建材料はない』というコンセプトのもと培養繊維芽細胞や血管内皮細胞、結合組織を用いた再建材料の研究、多血小板血漿(PRP療法)を用いた創傷治癒の臨床応用、さらに産業廃棄物であるホタテ貝殻を再利用した骨充填材の研究、リハビリ関連の基礎的研究を行ってきました。
業績
Nerve Conduit Using Fascia-Wrapped Fibrocollageneous Tube K Watanabe, T Tsukagoshi, M Kuroda, et al. J Reconstr Microsurgery 17 363-368 2001.
Experimental vascular graft using small-caliber fascia-wrapped fibrocollagenous tube: short-term evaluation Taku Tsukagoshi, M.O.Yenidunya, Eigo Sasaki, Tadashi Suse J Reconstr Microsurgery 15 127-131 1999
代用血管としての筋膜結合織管の基礎的研究 黒田正義 塚越 卓 渡辺佳純ほか 日形会誌 21 684-689 2001
簡単なラット保定具 渡辺佳純 塚越 卓 保阪善昭 日形会誌 21 612-615 2001
直線偏光近赤外線のラット皮弁生着に対する効果 宮本建太郎 塚越 卓 保阪善昭 日形会誌 21 295-299 2001
ホタテ貝殻を原材料とする骨充填材の開発 巣瀬忠之、塚越 卓、渡辺佳純ほか 日形会誌 21 181-189 2001
他動運動訓練による末梢神経再生促進効果に関する基礎的研究-axonotmesisとneurotmesisによる違い- 塚越 卓 昭和医学会誌 64 456-459 2004
間欠的伸張運動がラット末梢神経損傷後の神経と筋に及ぼす影響-組織学および電気生理学的所見からの検討-田村将良 水野雅康 塚越 卓ほか総合リハビリテーション 37 439-446 2009
関節不動後のラットハムストリングスに対する持続伸張運動の効果-単一筋線維筋電図を用いた筋収縮特性の検討- 谷本正智 水野雅康 塚越 卓ほか 理学療法科学 23 383-390 2008