PRP療法

  • ヒトの血液に含まれる血小板には創傷治癒や骨新生に重要な役割を果たす成長因子が含まれてます。
  • 通常、血液中に含まれる血小板の基準値は20±10万/μlですが、2回の遠心分離により4〜5倍の濃縮血小板が得られます(表-1)。このようにして得られた血小板血漿を末梢血由来多血小板血漿(以下PRP)と言います。
  • 自分の血液より分離・濃縮して得られた血小板を創傷治療に用いる新しい治療法です。簡単に分離・濃縮でき、自分の血小板なので安全で拒絶反応も起こらないなどの利点があります。しかし、血液15ccから得られるPRPは1cc程度と少量に限られます。PRPをより効果的に作用させるには同時に調製した自己トロンビンを添加することが重要です。
  • 臨床応用
    • PRP療法は歯科領域を中心に、褥瘡、難治性潰瘍、欧米ではスポーツ障害に対し創傷治癒を促進する治療法のひとつとして期待され臨床応用されています。また、シワの治療にも用いられています。
  • シワに対するメカニズム
    活性化させたPRPをしわの直下に移植することで、血小板が脱顆粒を起こし各種成長因子を放出し、繊維芽細胞に作用しコラーゲンなどの細胞外マトリックスを産生させることで改善を期待した治療法です。従来のフィラーなどのように即効性がないので満足度は低いですが、自家細胞を用いた皮膚の若返りを期待した治療として注目されています。
  • 未承認治療のため自費診療となります。

1回目分離後
1回目の分離後:血球成分(下層)と血漿成分(上層)に分離
2回目
血漿成分を取り出し2回目の分離を行い得られるのがPRP(下層)とPPP(上層)です。

  • PRP; platelet-rich plasma
  • PPP; platelet-poor plasma
    PRP+触媒
    PPPを除いたのがPRPです。同時に調製した自己トロンビンと反応させることで速やかに凝固反応が始まり成長因子が放出されます。
    スライド1