形成外科について

形成外科的手術は『成形手術』として、すでに明治時代におこなわれていたと『医学用語の起り』(小川鼎三著)に記載されています。

内科の診療科が細分化したように、外科も消化器外科、心臓外科、脳外科などの臓器別に分かれ、骨・関節の疾患は整形外科、形成外科は皮膚・軟部組織を扱う外科です。

特に顔面に関しては形成外科が対応しています。顔面を扱うには眼科、耳鼻咽喉科、脳外科、歯科などの知識をもって形態および機能再建の治療にあたることが要求されます。

このように形成外科はいわゆる“見た目”の治療にとどまらず”機能再建"にも大きな役割を果たしています。

しかし、形態のことを云々することは内科、外科の疾病が重視された時代では蔑ろにされる風潮にあり、形成外科としての統一的な仕事は1956年になってからで、1958年に開催された第1回日本形成外科学会で『形成外科』の名称が決められました。

私の恩師(鬼塚卓彌 昭和大学名誉教授)は形成外科ついて『先天性および後天性の身体外表の形、色の異常を対象とし、これを外科手技により機能はもとより形態解剖学的に正常にする手段』と定義づけています。
  
対象となる身体外表部位は頭部、眼瞼部、鼻部、耳介部、口唇部、頬部、頸部、体幹部、四肢部、手部と全身にわたります。